詩集『影の縫製機』に出会いました。『はてしない物語』や『モモ』で有名なミヒャエル・エンデの詩集です。エンデの詩集があることを、恥ずかしながら知りませんでした。その中で心にとまったのが「道標(みちしるべ)」です。 “道標は迷ったわたしを目的の場所に導いてくれる。なのに当の道標は指し示すその場所に行くことはないし、知ることすらない。人生も同じ、必要な時にそこに道標があることに気づき、わたしに行くべき方向を示してくれる。そしてこの道標を、時がたってからふと思い出すことがあるだろう”という内容の詩で、原語では韻をふんで美しいのだろうと思います。 人生の岐路で出会うもの、それはある人物かもしれないし、歌、本、映画、絵画、言葉…私たちはそれを“道標”として行くべき道を決めているのだなぁと思うのです。“道標”となった人や本の著者、歌の作者あるいは歌手、映画をつくった人や画家は、もしかしたら導いた人のことなど知らないし導かれた人がどこに辿り着いたかも知らないままです。道標はただ“道標”としてそこにあるもの。すでに「行く先を知っている人には目にも入らないかもしれない」もの。 そうか、人生の道標は迷った人が「これぞ道標」と決めるものなんですね。だから必ずしも明るい未来へと導くものばかりではないのが怖いところで、そう考えるとできるだけ明るく優しい言葉を紡ぎたいと思うのです。こうして広い世界に発信するなら尚更のこと。 [2021.12.01 Y.Ohtaka] |
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