小さい頃、私は「缶蹴り」という遊びに夢中になりました。鬼ごっこと隠れんぼを合わせたような遊びで、必要なのは空き缶1個だけ。3人以上いれば男の子でも女の子でも、10人でも20人でも遊べるという優れモノ。来る日も来る日もこの遊びに明け暮れたものです。 基本ルールがシンプルなので、毎日飽きずに遊ぶにはバリエーションの工夫が必要でした。みんなで知恵を出し合って考えたものです。思いついた新しいやり方をルールにするためには話し合いが必要で、あまり仲の良くない子や新入りの子とも話す必要があり、自然に交流が生まれました。 現代のネットゲームは確かに楽しいですが、子どもたちに何を与えてくれるでしょうか。遊びは大人の娯楽とは似て非なるもの。子どもが成長するためのトレーニングの場であるはずです。今の子供たちは、遊んでいるのではなく、遊ばされている…そんな気がしてなりません。 昔遊びは良かったというノスタルジーではありません。創造力が無いとか協調性に欠けるとか言う前に、現代の「空き缶」は何なのかを考えなければなりません。それが、子どもたちから成長の環境を奪った私たち大人の責務だと思うのです。 [2022.11.1 坂本 徹] |
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9月 2024
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