平成28年4月、青森県総合社会教育センターの所長として2年目を迎えた私は、「毎週金曜日の午後は職員室での仕事を禁止する!」と宣言しました。多くの時間をパソコンと睨めっこしている職員たちの働きぶりに疑問を感じたからです。 問題は2つありました。一つは、事業の「遂行そのもの」に執心し過ぎることです。滞りなく進めることは大切ですが、貴重な時間を遂行に費やして、本来の意図や目的を見失っては本末転倒です。もう一つは、ネットに依存し過ぎていることでした。刑事や新聞記者と同様、社会教育も自分の足で現場を訪ねなければ本質を掴むことはできません。 戸惑っていた職員たちも次第に真意を理解して行動するようになりました。1週間分の新聞にじっくり目を通す者、県立図書館で調べ物をする者、「会議」ではない話し合いをするグループ。小学校や保育所、カルチャーセンターなど、それぞれの事業と関連する所へ情報収集に出かける者。 かつて、HP(ヒューレットパッカード)には、金曜日の午後に「10%タイム」というスペシャルな時間が存在しました。エンジニアたちは通常の業務から解放され、それぞれに自分のアイディアに取り組むのです。必要な材料や機材は会社の物を自由に持ち出して良かったそうです。そこから数々の画期的なイノベーションが生まれました。また、3M(スリーエム)の「15%プログラム」がポストイットを生み出し、Googleの「20%ルール」からはGmailをはじめとする多くのプロダクトが生まれたのも有名な話です。 私の試みはこれに倣ったものでした。今は制度として続いてはいませんが、職員たちの働き方に少なからず影響を与えたことは確かなようです。曜日や時間を設定しなくても「クリエイティブな時間」を自分の中に持ち続けて欲しいし、私自身もそうしていこうと思います。 [2021.11.1 坂本 徹] ※ 写真の「スタート」は私とO副所長のクリエイティブな時間の作品です。「ゴール」や矢印もあります。 |
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11月 2024
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